神奈川県足柄下郡湯河原町の旅館統合プラットフォームの活用による面的活性化~官民連携によるスキーム確立と協調投融資の実施について
三島信用金庫、さんしんキャピタル株式会社は、神奈川県足柄下郡湯河原町の観光まちづくりにおける旅館統合プラットフォーム(以下、統合PF)の構築主体となる癒し場不動産株式会社に対して、設備資金の投融資を株式会社観光産業化投資基盤を無限責任組合員とする観光遺産産業化投資事業有限責任組合および、さがみ信用金庫、日本政策金融公庫と協調して実施しました。
三島信用金庫では伊豆地域での旅館再生支援の実績を有していることから、2020年5月に、観光庁主管の「旅館への投資の活性化による『負のスパイラルの解消』に向けた支援のあり方に関する分科会」(以下「本分科会」) に分科会構成員として参画しており、旅館が抱える課題解消による持続可能モデルについて検討を重ねて参りました。
旅館経営全体の3割程度が債務過多であり、これらの旅館は新規の資金調達が困難なため、投資の停滞による客単価の低下により債務返済が一層困難になり衰退していく「負のスパイラル」に陥っているという現状が本分科会で報告され、課題解消の検討がなされました。
「負のスパイラル」に陥った衰退旅館は、自力再生が難しく、一方で新規事業者にとっては小規模旅館単体では参画リスクが高いため、事業者の新陳代謝も進まず、新規投資を呼び込めないという課題が存在します。さらに衰退旅館の存在は、旅館街全体の景観や評価の悪化、ひいては街の集客力への影響も考えられます。
三島信用金庫では、観光庁・湯河原町・株式会社地域経済活性化支援機構(通称REVIC)・さがみ信用金庫と連携して、これら旅館の課題解決に向けた検証を重ね、癒し場不動産株式会社を統合PFと位置付け、上記プロジェクトメンバーと共にスキームを整備し、統合PFへの金融支援を実施しました。
統合PFは、破産旅館の購入や衰退旅館を長期賃借の上、リノベーション投資を実施し、複数旅館をまとめ、好実績を有する旅館運営事業者に運営委託します。旅館の旧経営者は、債務返済条件の見直しを実施し、統合PFから支払われる賃貸料で既存借入の返済等を行います。
旧旅館経営者は債務返済、新規運営者は一括運営による収益性向上が見込めることから参入しやすくなり、統合PFは優良な新規運営者の参画により資金調達を行いやすくなるため、旅館再生を強力に推進できるようになります。
運営事業者に、湯河原地域での旅館運営に優良な実績を持つ株式会社リアルクオリティの子会社である株式会社クラウドを迎え、2旅館の再生を行い、加えて本件で得られたノウハウを他地域へ展開することで、衰退旅館の再生を基軸とした観光地の面的活性化を加速させるモデルケースとなることを見込んでおります。
三島信用金庫は本事業の取組みを通じエリアにおけるまちづくりを支援するとともに、引き続き、地域活性化支援に取り組んで参ります。
癒し場不動産株式会社の概要
>企業名 | 癒し場不動産株式会社 |
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>業 種 | 不動産賃貸業 |
>住 所 | 神奈川県足柄下郡湯河原町宮上566番地 |
>事業内容の概要 | 癒し場不動産(株)は、平成30年5月設立。 |
統合PFの長期賃借スキーム
施設の修繕後イメージ
2022年7月オープン予定
2022年5月オープン予定
「さんしん活性化ファンド」について
ファンド名称 | さんしん事業活性化投資事業有限責任組合 |
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設立日 | 2019年3月1日 |
ファンド総額 | 10億円 |
組合員構成 | 三島信用金庫、さんしんキャピタル株式会社 |
ファンド存続期間期間 | 2029年2月28日(設立日から10年間) |
投資対象および地域 | 三島信用金庫の営業地域において地域活性化に資する案件 |
業務運営者 | さんしんキャピタル株式会社 |
参考資料
旅館への投資の活性化による『負のスパイラルの解消』に向けた支援のあり方に関する分科会の概要(観光庁ホームページ)
https://www.mlit.go.jp/kankocho/news06_000471.html